事業紹介

一柱の御遺骨が故国に還るまでの流れを、6つの事業で一体として担います。

事業①

情報

公文書と証言から埋葬地を推定します。

事業②

調査

非破壊探査で位置を絞り込みます。

事業②

収容

記録を残しつつ丁重に発掘します。

事業③

判定

法科学的所見と所属集団を判定します。

事業③

特定

DNA型の照合で身元を特定します。

事業④

帰還

送還・慰霊祭を経てご遺族へお伝えします。

① 戦没者情報調査・データベース事業

どこに眠っておられるかが判らなければ、一柱もお還しできません。現地調査の成否は、情報の質でほぼ決まります。

海外公文書館資料の系統的調査

米国国立公文書館(NARA)をはじめ、豪・英・露・比等の所蔵資料から、埋葬記録・戦闘詳報・墓地図面を収集し、翻訳・照合します。

部隊史・戦友会資料の救出

解散した戦友会・遺族会が保管していた名簿、陣中日誌、私家版の部隊史を寄贈受入れし、散逸を防いだうえで電子化します。

現地での聞き取り

現地住民、地方政府、開発事業者からの埋葬地情報を継続的に受け付ける窓口を各国に設けます。

統合データベースの構築

戦没者名簿・埋葬地情報・収容実績・鑑定状況を一元管理し、地図情報と紐づけて優先度を評価します。整理した情報は厚生労働省および指定法人へ提供します。

② 現地調査・遺骨収容支援事業

遺骨収集は国の責務であり、実施は厚生労働省と指定法人が担います。当協会は独自に掘るのではなく、協力民間団体として派遣団に参画し、技術・人員・情報を提供する立場をとります。

1

事前調整

相手国政府・地方自治体・地権者との協議、許可申請の支援。宗教・慣習への配慮を含む合意形成を行います。

2

非破壊探査

地中レーダー、ドローン測量、金属探知により掘削前に位置を絞り込み、無駄な掘削を避けます。

3

試掘・本掘

考古学的手法に基づく層位記録つきの発掘を行います。出土状況を三次元で記録し、後の鑑定情報として残します。

4

現地一次所見

人骨か否か、最小個体数、部位構成を現地で判定し、検体採取に適した部位を選別します。

5

記録・引渡し

遺留品を含む一切を記録化し、厚生労働省・指定法人の手続に沿って引き渡します。

担い手の育成

考古学・法医人類学の若手研究者、学生ボランティア、自衛隊OBの方々を対象に収容技術研修を実施します。属人化した技能を手順書として標準化し、次世代に引き継ぎます。

③ 遺骨分析判定事業

収容した御遺骨を「不明」のまま終わらせないための科学です。当協会の中核に位置づけています。

法科学的判定(形質鑑定)

骨そのものが語る情報を、法医人類学・法歯学の手法で読み取ります。

  • 最小個体数・部位同定 ── 混在した骨片から個体を分離し、何柱分かを確定します
  • 性別・死亡時年齢の推定 ── 骨盤や頭蓋の形態、歯牙の萌出・咬耗から推定します
  • 身長・体格の推定 ── 長管骨の計測値から回帰式により算出します
  • 歯科所見 ── 治療痕・義歯・欠損を記録します
  • 同位体分析 ── 炭素・窒素・ストロンチウム同位体比から食性や出身地域を推定します
  • 受傷・埋葬状況の所見 ── 戦傷痕、埋葬姿勢、副葬遺留品から戦没状況を復元します

DNA型解析(鑑定機関との連携)

劣化した検体からいかにDNA情報を引き出すかが、身元特定の成否を分けます。

  • 検体採取と保存 ── 側頭骨錐体や歯牙など残存性の高い部位を選定し、汚染防止を徹底します
  • ミトコンドリアDNA解析 ── 母系を辿ります。劣化検体でも比較的検出しやすい手法です
  • 核DNA・STR型解析 ── 常染色体STRとY染色体STRにより識別精度を高めます
  • SNP解析 ── 断片化した古いDNAから配列を読み、所属集団の判定に活用します
  • 所属集団判定 ── 日本人か否かを判定します。日本人でない場合は相手国への返還協議へ移ります
  • ご遺族検体との照合 ── 口腔粘膜検体と照合し、血縁関係の有無を判定します

当協会が担う4つの役割

鑑定前処理の受託

現地一次所見、検体選別、記録の標準化を担い、鑑定機関に「鑑定しやすい状態」でお渡しします。公的鑑定体制の処理能力そのものを実質的に増やします。

ご遺族検体の掘り起こし

戦没者名簿から縁故者を特定し、DNA鑑定申請を能動的に呼びかけます。検体を提供してくださる方がいなければ、どれほど良い検体があっても照合先がありません。

研究開発への助成

劣化DNAの抽出法、同位体データベースの整備、SNPパネルの開発などの研究に、機動的な民間資金を投じます。

海外鑑定機関との橋渡し

米国DPAAなど、同種の事業を持つ海外機関との技術交流と共同鑑定を仲介します。

④ 帰還・慰霊・追悼事業

還すことそのものが、事業の目的です。

帰還式の執行

空港・港での奉迎と奉送。「お帰りなさい」と申し上げる場を必ず設けます。

現地慰霊祭

収容地における慰霊を、現地の皆さまと共に営みます。長年にわたり御霊を守ってくださったことへの謝意を表します。

ご遺族への伝達

御遺骨、遺留品、鑑定所見、発掘記録を一体でお渡しします。

納骨と記録

千鳥ヶ淵戦没者墓苑への納骨に立ち会い、一柱ごとの記録を協会として永続的に保存します。

慰霊巡拝の支援

ご遺族・遺児・お孫さんの世代の現地訪問に同行し、記録を残します。

⑤ 普及啓発・記憶継承事業

伝えることは、次の一柱を見つける力になります。

情報提供の全国呼びかけ

遺品・写真・手紙・証言の受付窓口を常設し、ご家庭に眠る一次資料を救い出します。

情報提供のお願い

DNA鑑定申請の周知

縁故者を特定して個別にご案内し、検体のご提供につなげます。

若手調査員・鑑定者の育成

大学と連携した実習、研究助成、奨学制度に取り組みます。

デジタルアーカイブの公開

収容記録・戦跡地図・証言映像を、検索できる形で公開します。

⑥ 会員・寄附・基金事業

公文書の調査、ご遺族検体の掘り起こし、鑑定技術の研究助成、海中ドローンの開発。 いずれも国費だけでは動きにくく、民間の資金が力を発揮する領域です。 会費、ご寄附、遺贈、企業協賛により、安定した財源を確保します。

戦没者の事業は信頼が生命線です。会計監査に加え、収容柱数・鑑定件数・返還件数を定期的に公表し、 ご支援がどの一柱に結びついたかを追跡できる形でご報告します。